地震に備えた住宅の耐震補強リフォームとは
▼目次
耐震リフォームはどのような施工が行われるのでしょう。主要な工事内容をご紹介します。
なぜ耐震リフォームが必要なのか?
近年発生している大地震のニュースをみるたび耐震補強工事は必要と感じている方はいるのではないでしょうか。
東日本をはじめ、熊本や阪神・淡路大震災などの大きな災害はいつ自分の身に降りかかるか分かりません。耐震リフォームをすることで、我が家はもちろん家族みんなの命を守るためにも必要なポイントだと言えるでしょう。
長く安心して使うためにも、マイホームのリフォームと一緒に耐震補強工事を行なってみるのはいかがでしょうか。
建物の特徴による耐震性
1981年以前に作られた建物
1981年よりも以前に建てられた建造物は、現在よりも耐震性の基準が低く設けられていました。1995年に起こった阪神淡路大震災では、1981年以前に建てられた建物と以降に立てられた建物では、被害の大きさに顕著に差が見られたという報告がされています。
柔らかい地質の上に立っている建物
家を建てる前に入念な地質調査がされますが、場所によって地層の特徴があります。特に都市部では軟弱な地層が多く、地震による地盤の揺れが大きく伝わってしまうのです。建築基準法では、地盤の状態に合わせて壁量を増やすよう定められています。
壁量は建造物の1階部分にある壁の量によって、建造物の耐震性や封圧力などの抵抗力をもたらします。4畳と6畳の部屋では、部屋の広さに対する壁の量が多い4畳の方が壁量を持っていると言えるのです。そのため、同じ平米数でも部屋数が多ければ、壁力による耐震構造が保たれていることをあらわしています。
オーバーハングした建物
最近は2階部分が1階部分より飛び出している建物や、2階部分にピロティを設けるといったデザイン性の強い建物が増えてきました。これによって不安定な家になってしまうこともあるようです。
1階に壁が少ない建物
1階部分が駐車場や店舗になっていると建物を支える壁の力が少なく、万全の耐震性とは言えません。このような建物の場合、1階部分だけが倒壊する恐れがあるので、柱を追加するなどの対応も考えてみるとよいでしょう。
1階部分が大きい建物
1階部分がしっかりとした建物で2階部分が小さい建物の場合、一見すると安定しているように見えます。しかし、建物は1階部分と2階部分の外壁線が揃っていた方が構造上安定するのです。そのため、階層ごとで作りが違う場合、耐震性が十分に発揮できない建物になると言われています。
老朽化した建物
経年劣化による建物の耐震性は当然ながら、新築で建てたマイホームもシロアリや欠陥工事により、部分ごとに強度が損なわれているケースがあります。気になる箇所がある場合は、リフォーム業者に調査依頼を出してみると良いでしょう。
建物の形状
建物の形がL字型やコの字型、凹凸がある形状では建物の箇所ごとで剛性が異なってしまいます。地震が起こった場合、揺れは一つの方向だけでなく、さまざまな方向に揺れ動きます。そうしたときに、剛性の異なる接続部分が損壊しやすくなってしまうのです。シンプルな形状は耐震性も強く、建設コストやメンテナンス性も含め優秀な働きをしてくれますよ。
どんな施工が組まれる?
建物の基礎部分を補強
しっかりとした基礎が無ければ、地震に耐えることはできません。建物の耐震性のベースとなる基礎が、鉄筋の入っていないコンクリートだった場合、それを鉄筋コンクリートと一体化させるといった施工を実施。ひびが入っている個所があれば、修繕するケースもあります。
腐食している部分の修繕
建物の土台や柱が腐食していたりシロアリによって被害を受けたりしている場合、土台の取り換えや柱の部分交換によって修繕します。このとき、修繕部分には耐震用金具や防腐剤、シロアリによる劣化を防ぐ防蟻処理が施されます。
壁の補強
建造物の壁が横から加わる力に弱い間仕切壁の場合、ベニヤ板よりも強度の高い構造用合板を付けて補強したり、柱の間などにななめに交差させて木材を取り付ける筋交いを用いたりして、壁全体の補強を施します。
屋根部分の軽量化
建物の中でも屋根に重みが集中すると自身で家屋倒壊の原因となってしまいます。日本古来の日本瓦を使用している場合、それらを軽量な材質に取り変えるだけでも、十分な耐震性向上が見込めます。
耐震リフォームの相場
耐震リフォームの費用は建造物の建築方式、施工箇所や建築年数によって違いが生じるので目安として参考にしてください。
屋根の瓦を軽量な素材に張り替えた場合
- 費用:100万円
- 面積:85平米
- 工期:3日
外壁を補強するために耐力壁を入れた場合
- 費用:195万円
- 面積165平米
- 工期1ヶ月
壁に耐震パネルを打ち付けて補強した場合
- 費用:12万円
- 工期:3日
ダイニングの部屋に筋交いを入れて補強した場合
- 費用:150万円
「耐震」「制震」「免振」の違いとは?
耐震
耐震は柱や壁の強度を上げることで、建物が振動に耐えられるように改修することを指しています。建物の強度を上げることに向いていますが、建物自体の強度を分散できるできるわけではないので、建物の上の階に行くほど揺れが大きくなります。
制震
建物の下にダンパーと呼ばれる装置を設置することで、建物の揺れを抑えようとするもの。特に高層ビルなどに使われています。
免震
地面と建物の基礎部分に免震装置を設置することで、地盤と建物を切り話すことができる工法です。地震による揺れの大部分をカットすることができ、その効果は90%近くの振動をカットするほどの効果を持っています。
耐震診断を試してみる
耐震リフォームは部分的修繕や施工でも100万円以上かかってしまいます。しかし、いつ起こってもおかしくない地震に前もって予防しておくことで、マイホームだけでなく家族を守ることになるのです。
耐震リフォームに関する施工は他にも色々あるので、費用を算定した上で必要な箇所に最善の施工をしてもらいましょう。