どちらを選ぶ?リフォームと建て替えの違い
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最初は満足していた自宅でも、長年のうちに様々な問題が出てくるものです。老朽化による性能の劣化は言うまでもなく、家族構成が変化することによって足りない部分、余分な部分が出てくることもあるでしょう。また、住宅に求められる性能も、その時々で変化します。省エネ性能が重視されたり、耐震性が注目されたりするのもその一例です。
リフォームと建て替えは、どちらもそのような問題を解決できる方法ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
リフォーム、建て替えに至る理由
リフォーム、建て替えの検討に至るには、それなりの理由があるはずです。大別すれば以下の3種程度に分けることができます。
ライフスタイルの変化
年月が経てば、ライフスタイルは変化していきます。例えば家族構成の変化は、最も顕著なものの1つです。子供ができれば、子供部屋が必要になりますが、年月が経過すれば、その子供部屋も不要になります。
室内をバリアフリーにしたくなるかもしれません。遊びにくる孫のために広いリビングが欲しくなるかもしれません。キッチンやトイレ、バスルームを新しく使いやすいものに変えたくなることもあるでしょう。
住宅の性能に不満、心配がある
東日本大震災、熊本地震のあと、学校や官公庁の建物の耐震性能不足が、よくニュースとしてとりあげられました。そのようなことがあると、自宅の耐震性能についても気になるものです。
住宅の耐震性についても、1981年、1995年に基準の見直し、耐震性強化を促す制度が制定されています。つまり、それ以前に建てた住宅は、耐震性能不足の可能性があります。
また、住宅の省エネについても高性能化が求められています。20年、30年経過した住宅では、耐震性、省エネ性能の両方も不足している可能性があります。
住宅の老朽化
もし、今快適に住めているのなら、間取りを変えたり、耐震強化を考えたりする必要はないかもしれません。しかし、何十年も経った住宅の場合、そもそも老朽化がひどいこともありえます。外壁がボロボロになっていたり、雨漏りする箇所があったり、シロアリ被害で強度が落ちていたり、老朽化が目に見えてわかるようなら、何らかの対策が必要です。
リフォームや建て替えは、上記のような問題の解決の切り札となる手段です。家そのものに大きく手を入れることで、これから先の数十年を快適に過ごせるようにするものです。では、次にリフォームと建て替えのどちらがベターかを考えてみましょう。
建て替えのメリット、リフォームのメリット、デメリット
長く住んだ家には、様々な思い出があります。できれば使えるものは使いたいという気持ちを持たれる方もいらっしゃることでしょう。
建て替えを選ぶか、リフォームを選ぶかに、そのような心理的な要因が絡むケースも少なくありません。ですが、ここでは、そういった感傷は除いて、建て替えとリフォームのメリットを紹介します。
建て替えのメリット
建て替えとは、今建っている家を解体し、新しく家を建て直すことです。土地だけ活かし、新築の住宅を建てるわけですから、今ある問題点は間違いなくほとんど解消されます。
リフォームだと残す部分が制約になり、実現できないプランが発生するかもしれません。建て替えだとほとんど制約がないので、これからのライフプランに最適の住宅を手に入れることができます。 もう1つ建て替えのメリットで大きいのが、予算計画がシンプルで簡単だということです。
解体費用+新築住宅の価格=建て替えの価格、です。
解体費用は木造の場合、30坪で120万円、50坪で180万円程度です。新築の価格は、周辺地域の住宅広告をチェックすれば、おおよそ把握できるのでないでしょうか。 わかりやすく、いいことばかりのような建て替えですが、デメリットもあります。
それは、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金がかかります。新築の家を建てたときと同じ税金がかかります。また、工事着手から完成までの仮住まいを用意する必要があります。リフォームでも必要になるケースがありますが、当然ながら仮住まいの期間は、建て替えの方が長くなります。 建て替えを決意しても、建て替えができないケースがあります。
地域の条例や建築基準法の変更で、今土地がある地域に新築住宅が建てられない場合や、建てられる建物に制限が設けられている場合があります。その場合は、行政や法律をチェックしつつ、リフォームで対応するしかありません。
リフォームのメリット
リフォームといっても、その幅は広く、ちょっとした内装工事から、増改築を含むものまであります。最近、よく聞くリノベーションという言葉があります。日本では、リフォームとリノベーションが、ごちゃごちゃになって使われているケースもありますが、リフォームとは、劣化した部分を元に戻すこと、リノベーションは、今あるものをもっとよくすることです。
従って、古い住宅の耐震や省エネ機能を強化したり、間取りを使いやすくしたり、新しい設備を入れることはリノベーションというべきです。ですが、ここでは、用語を統一するために、リフォームとしてすすめていきます。 リフォームのメリットは、今ある家を有効活用できることです。利用できる部分を活用することで、廃材が減り、必要な資材を減らすことができます。そのため、リフォームの内容によっては、思ったよりも低価格ですむ可能性もあります。
一方で、価格が不明瞭になりがちという問題もあります。耐震や断熱材の工事などは、素人目にわかりにくい部分が多い工事です。請け負った工務店によっては、リサイクルの取り組み度が異なるので、資材の再利用など行ってくれないかもしれません。
このように、リフォームでは工事内容や価格がわかりにくいので、大阪でも複数社からの提案、見積もりを比較することが大切です。これらの手間はリフォームの、意外に大きなデメリットといえます。
建て替えのデメリットで、税金が必要になるケースがある、と紹介しました。リフォームでも規模によっては発生する場合があります。以前の家よりも、床面積が増えるなど資産価値に変動があった場合は、その差分の不動産取得税がかかります。
税制制度も利用して、かしこく建て替え、リフォームを
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」という制度があります。以下の3つの条件に合致する場合、贈与税が不要になります。
- 贈与する人が贈与を受ける人の直系尊属であること
- 贈与を受けた年分の合計所得が2,000万円以下であること(所得税に係る分)
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋の新築・増改築を行うこと
また、建て替え(新築)、リフォームともに耐震性、省エネ、バリアフリーなどの要件に沿った住宅を取得する際に、所得税から控除を受けられる制度もあります。ぜひ上手く活用してください。