減築
▼目次
既存の家を小さくするリフォームの減築。2階建てを平屋にしたり、2部屋あった2階を1部屋にしたりと、その種類は様々です。ここでは減築リフォームについて、種類や費用相場についてまとめています。
減築リフォーム
広くて住みやすいマイホームをわざわざ小さくするのはなぜでしょうか?まず、どんな理由でどんなリフォームが行われているのか、見てみましょう。
子どもが独立して家が広すぎるため
減築リフォームを考える理由として多いのは子どもが独立したことで家のサイズが合わなくなってしまったことです。子どもが小さい頃は狭く感じた2階建ての一軒家でも、夫婦2人になると広すぎると感じるケースは多々あります。
夫婦2人だけなら1階のリビングダイニングと夫婦の寝室だけで十分生活はできますよね。それに将来的に身体が不自由になった場合、階段の上り下りは危険になります。でも慣れ親しんだ家に住み続けたい、マンションなどへの引っ越しは考えていない。このような場合、使っていない2階の子ども部屋部分を減築して1階建ての平屋にリフォームしてしまう方が多いようです。
家のメンテナンスが大変だから
高齢化に伴って2階建ての一軒家を維持するのが困難になってきます。エレベーター付きのマンションに引っ越すという手もありますが、長年住み続けた我が家でこの先も暮らしていきたいと考えている方は多いでしょう。普段の生活で使用していない部屋を減築することで家をコンパクト化し、終の棲家とすることができます。自分のライフスタイルに合ったサイズの家にすることで、定期的なメンテナンスがしやすくなると考えるようです。
減築リフォームの種類と方法
平屋の一部を減築
平屋の一部を解体することで、駐車場や庭を広げるのがリフォーム方法の1つ。床面積が狭くなる分、メンテナンスや掃除が楽になるのが特徴です。隣の家との間隔が狭い場合には、距離を開けてプライバシーを高めることもできるでしょう。
2階建ての1階の一部を減築
2階建ての1階部分を減築するのは、敷地面積の狭い狭小住宅などに適した方法です。減築した1階の一部分には駐車場を設けるのが一般的。工夫次第で1階の部屋の日当たりを良くすることもできます。ただし、2階部分を支えるための補強や新たな柱を作るので、大掛かりな工事になる可能性があるので予算や期間との相談が必要です。
2階建ての2階の一部を減築
2階建ての2階の一部を減築するのは、元々二世帯住宅として建てた住宅に多い減築方法です。父母と息子夫婦、孫2人の計6人で暮らしていたところ、孫2人が独立したことで部屋が余ってしまったといったパターン。このようなケースでは孫が使っていた2階の2部屋を減築するのが一般的です。部屋数が減ったことで2階部分の日当たりや風通しが良くなりますし、元々2階の部屋があった部分に天窓を付ければ1階の日当たりも改善します。
2階建てを平屋化
2階建てを平屋化する減築リフォームは夫婦2人暮らしの方に多い減築方法です。成人した子どもが独立してしまい、夫婦2人で使うスペースが限られてしまったというのが大きな理由。2階にあった部屋を減築して、1階の間取りを変更することで夫婦2人で暮らしやすい家に変更します。平屋へと減築した場合、階段の上り下りは必要なくなりますし、家事の動線も1階のみで済ませられるので生活のストレスが軽減される効果も期待できます。
2階建てを吹き抜け化
建物の高さはそのままに、2階部分に吹き抜けを作る減築方法もあります。今まであった天井がなくなるので、開放的な空間にできるのが特徴。天窓を付ければ日当たりが改善し、吹き抜けの空間ができることで夏場の涼しさが向上します。ただし、1部屋の空間が大きくなるので、冬場の暖房は効きにくくなる可能性があるのが懸念点です。
減築リフォームの費用相場
減築リフォームの費用相場は施工面積1m2あたり10.5〜15万円です。ただし減築リフォームは施工部分の広さだけでは工事費用を算出できません。住宅の築年数やどのくらい補強が必要かなどによって費用の相場が変動します。一般的に減築する範囲が大きいほど、また、築年数が経っているほど価格は上がってしまいます。
築年数が浅ければ総額500万円程度で行える場合もありますが、築25年以上の住宅を2階建てから平屋に減築する場合、解体や屋根・外壁の補修、などを含めて総額1,000万円以上かかることも。1階部分の間取りを大幅に変更したり、バリアフリー化を行う場合には2,000万円を越える事例もあります。
築年数20年以内の住宅を減築した場合の費用相場を以下にまとめておきます。参考にしてみてください。
- 平屋の一部除去:約540万円/60m2
- 2階建ての1階の一部除去:約650万円/50m2
- 2階建ての2階の一部除去:約700万円/50m2
- 2階建てを平屋化:約1,000万円/100m2
- 2階建てを吹き抜け化:約500万円
減築リフォームの事例
当サイトで紹介しているリフォーム会社が手掛けた、減築のリフォーム事例をピックアップして紹介します。
事例1:減築リフォームで2階建てから平屋建てに
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画像引用元:住友不動産の新築そっくりさんホームページ
https://www.sokkuri3.com/kodate2/case_detail/454/
2階建ての住宅を減築して平屋建てに生まれ変わりました。内外装はまるで新築のような見た目となっています。既存の車庫の部分をなくしてしまい、新しく和室を設置。和室を設けた部分以外の間取りは大きく変更されていません。部屋数が減ったことで収納できる場所が少なくなったため、代わりにキッチンパントリーが設置されています。
事例2:減築で駐車スペースを確保
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画像引用元:住空間建築設計ホームページ
https://jyukukan.net/2013/01/271
築40年の住宅ですが減築リフォームによってキレイな姿に変身しています。元々は敷地いっぱいに家が建っていて庭部分が少しある程度でしたが、1階と2階の一部を減築することで大きなスペースが生まれました。部屋数が多すぎる状態から、ライフスタイルと家族構成に合わせた部屋数に調整しています。建物面積が減ったことで、車3台分の駐車スペースを確保することができました。
事例3:あえて2階部分を少し残して収納スペースに
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画像引用元:リビングコート技研ホームページ
https://www.livingcourt.com/4257.html
2階建ての2階部分を減築しています。昔は学生向けの寮として貸し出されていた部分ですが、貸し出しをやめたことで不必要に。依頼者の方の希望は減築で平屋建てにということでしたが、収納スペースを確保するためにあえて2階部分を残す形でリフォームしました。元々の階段はそのまま利用し、耐震対策として軽い屋根瓦へと変更してあります。
事例4:平屋建てのバリアフリー住宅に
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画像引用元:マリモハウスホームページ
https://www.marimohouse.co.jp/reform/case/case01/
住宅の老朽化と、ご主人を亡くされて1人住まいになったことがきっかけで、2階建てから平屋建てへと減築リフォーム。住み慣れた自宅で安心して老後の生活を送れるようにとバリアフリー化もしています。家中の扉は全て引き戸に変更し、スロープも設置。既存の玄関の反対側にも新しい玄関を設けて、以前よりも使い勝手を向上させました。
減築リフォームのメリット
住み慣れた家に暮らし続けられる
減築を行えばライフスタイルが変わっても家を引っ越す必要がないので、住み慣れた家に暮らし続けることができます。2階部分の減築であれば暮らしの動線をほとんど変えることなくリフォーム可能。老後も長く暮らし続けるために、階段のない平屋へと減築リフォームする方も多いです。階段を上がることがなくなれば、階段から落ちてケガをするリスクも軽減できます。
暮らしの負担が軽くなる
減築には暮らしの負担が軽くなるメリットがあります。近年ではバリアフリーを考えて階段のない家へと減築するリフォームが注目を集めています。使わない部屋であっても放っておくとホコリが溜まってしまうので掃除をしなければなりません。減築リフォームで人数に合わせた部屋数にすれば、今まで必要だった掃除に使う無駄な労力を節約できます。1階部分だけで暮らすので家事の動線も効率が良くなり、時間の短縮にもなるでしょう。
防犯性が向上する
減築をすることは防犯性を向上させるため空き巣対策にも繋がります。使用していない部屋を狙って侵入を試みる空き巣は多く、特にリビングから離れている部屋は人気がないので狙われやすくなっています。空き巣リスクの高い不要な部屋は思い切って減築しまうのが得策。防犯性が高まり、安全な暮らしが目指せます。
2階部分の減築で耐震性が向上
2階部分の減築で軽くなった家は耐震性が高くなります。家の重量は耐震性に大きな影響を与え、基本的に重量が重ければ重いほど耐震性が低下していく傾向があります。部屋数を減らすことで住宅全体が軽くなるのはもちろん、リフォームを行う際に耐震性の確認をするので不安があればそのタイミングで補強が可能。特に築年数が古い住宅はほとんどの場合補強が必要なので、リフォームによって耐震性を向上できるでしょう。
減築リフォームを行うタイミング
減築を行うタイミングは人それぞれですが、一般的には子どもが独立した時と、バリアフリー化を考えた時が多い印象です。
前者は子どもが独立したことで使っていない部屋ができてしまい、広い家に夫婦2人だけで掃除やメンテナンスが大変になったパターン。後者は年をとって脚が不自由になったとき、不要な階段や段差で体への負担を増やさないためにと考えた場合です。いずれにせよ、老後のことを考えるなら、早めに2階の使っていない部屋を減築して階段のない住宅へとリフォームするのがおすすめです。ライフスタイルの変化があった時が減築リフォームをするベストなタイミングと言えるでしょう。
減築リフォームの注意点
減築リフォームを考える際はいくつか注意点があります。あらかじめ把握しておきましょう。
仮住まいを用意しなければならないことがある
リフォームの内容によっては一時的に仮住まいが必要になる場合があります。仮住まいが必要な場合、工事期間はホテルに宿泊するかウィークリーマンションを契約しておかなければなりません。リフォーム業者の中には仮住まいの手配をしてくれるところもあるようなので、相談してみてください。対応してもらえない場合、自分で仮住まいの用意する必要があります。
耐震性に注意する
減築リフォームの際には耐震性を補強することができますが、その際に建物のバランスを考慮する必要があります。減築によって建物のバランスが変わってしまうと、家を支えるための耐力壁の量が十分であっても、上下左右のバランスが取れずに耐震性が不安定になってしまうので注意しましょう。減築リフォームをする前に家の耐震性を確認し、必要な補強を必ず行うことが大切です。
減築リフォームはライフスタイルに合わせて行う
減築リフォームは今後のライフスタイルを考慮したうえで行うのが理想です。今は夫婦2人でも、将来的に子どもと同居することはありませんか?老後のバリアフリー化はどうするのかを考えていますか?
減築リフォームは既存の家でさらに快適に暮らせるように行うもの。家をコンパクト化することで住みやすくなり、家事や掃除の効率が上がります。建て替えやフルリフォームよりも安い費用でライフスタイルに合った家を手に入れられるのが大きなメリットです。将来のことをしっかり検討して減築リフォームを行いましょう。
まとめ
減築リフォームの種類や費用相場、メリットや注意点を紹介しました。減築リフォームでは、工事の内容や住宅の築年数によって費用相場が大きく異なります。大規模な工事となると相応の費用がかかってしまうので、早めに検討して計画的に行う必要があります。ライフスタイルや将来を考慮して、より快適に過ごせる住まいを目指してください。